記者の私に
「マスコミは政府の発表をもっと厳しく批判して」
「なぜギリシャなど海外のデモばかり報道するのか。日本の反原発の声も拾って」
と求めた。


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asahi.com:子の被曝 心配する母ら/回顧2011-マイタウン奈良
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子の被曝 心配する母ら/回顧2011
2011年12月29日

 ◇関東からの自主避難

 東日本大震災は、学生として東京で経験した。計画停電で真っ暗になった街から奈良に赴任。震災の雰囲気が遠のいたと感じたが、やむにやまれぬ思いで同じく関東からやってきた人たちと出会った。

 奈良市後藤町の「とおく&らいぶカフェ葉音(ぱおん)」で月に1度、環境問題などを話し合うお茶会が開かれている。10月の会をのぞくと、放射能を避けるため東京や神奈川、千葉などから自主避難した人ら15人が参加していた。子どもの被曝(ひばく)を心配し連れてきたという母親の多さに驚いた。

 会が始まると、皆次々に福島第一原発事故後の胸の内を語り始めた。東京に夫を残して子どもと生駒市に越してきた女性は「東京にいた時、息子がよく鼻血を出していた。本当に影響はないのか不安」、横浜市から避難してきた女性は「向こうに残っている友達に危ないと言っても、反応は薄い。本当に大丈夫なのか心配」と声を落とした。千葉県浦安市の自宅が地盤の液状化で住めなくなったという女性は「着の身着のままで出てきた。まさかこんなに長くなるなんて」と打ち明けた。

 記者の私に「マスコミは政府の発表をもっと厳しく批判して」と皆が口をそろえた。東京から子どもを連れて地元の奈良に避難してきた女性は「なぜギリシャなど海外のデモばかり報道するのか。日本の反原発の声も拾って」と求めた。

 あふれる情報の中で新聞報道が信じられないという声に、ただ耳を傾けるほかなかった。奈良にいても震災は決して遠くの出来事ではない。そう実感している。
(根津弥)
---転載終わり