原子力安全委員会の班目春樹委員長:
「1次評価だけでは安全委が要求する安全確認が終わったことにはならない」



安全評価、1次だけでは不十分 原子力安全委の班目委員長
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安全評価、1次だけでは不十分 原子力安全委の班目委員長
2012年2月20日 19時14分

 原子力安全委員会の班目春樹委員長は20日、原発の安全評価(ストレステスト)について「1次評価だけでは安全委が要求する安全確認が終わったことにはならない」と述べ、1次評価だけでは不十分との見解を明らかにした。
 政府は1次評価を原発再稼働の条件にしているが、班目氏は「安全評価と再稼働は次元の違う話。再稼働の是非は政府が判断するとしており、安全委として何か言うつもりはない」と述べた。
 経済産業省原子力安全・保安院は、関西電力大飯原発3、4号機(福井県)の1次評価を妥当とし、安全委に報告。安全委は今後、外部の専門家を含めた検討会を開く。
(共同)
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“1次評価”安全性評価できず
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“1次評価”安全性評価できず
2月20日 19時37分

原子力発電所の「ストレステスト」について国の原子力安全委員会は、「今、報告を受けている『1次評価』だけでは安全性を評価するには不十分だ」と指摘したうえで、運転再開の判断とは切り離し、評価が妥当に行われているかを確認するという見解を明らかにしました。
今後、原発の運転再開を巡る動きに影響を与えそうです。

「ストレステスト」は、去年7月、原発の運転再開を判断するために導入されたもので、施設や機器が地震や津波などにどの程度耐えられるかを調べる「1次評価」と、福島第一原発事故の検証も踏まえて総合的に評価する「2次評価」の2段階に分かれています。
政府は、去年7月、定期検査中の原発については、「1次評価」で運転再開を判断する方針を明らかにしていて、今月13日には全国で初めて関西電力大飯原発3、4号機の「1次評価」を「妥当」とした評価結果を、原子力安全・保安院が原子力安全委員会に報告しています。
これについて安全委員会の班目春樹委員長は、「1次評価は簡略的な方法で原発の安全上重要な機器のみを評価するもので、原発の安全性を評価するには不十分だ。詳細な判断基準を設けた『2次評価』まで行わないと正しく評価できない」とする委員会の見解を明らかにしました。
そのうえで、「そもそもストレステストを運転再開の判断に用いることには賛成できない。安全委員会は運転再開と切り離し、評価が妥当かどうかを科学的に確認し、運転再開の判断は政府や保安院が行うものだ」と述べました。
原発の運転再開は、ストレステストの「1次評価」の結果を踏まえて、地元自治体の了解を得たうえで、政府が最終的に判断するとされてきましたが、安全委員会が、「1次評価では、安全性の評価は不十分だ」と指摘したことは、地元自治体の判断など運転再開の動きに影響を与えそうです。

“1次評価”と“2次評価”

「ストレステスト」は、去年7月、原発の運転再開に向けて国民の理解を得るために導入されました。
福島第一原発の事故を受けてヨーロッパで先行して始まった原発の新たな安全評価で、コンピューター上のシミュレーションを使って、地震や津波などにどれくらい耐えられるかを確認するものです。
日本のストレステストには、「1次評価」と「2次評価」の2種類があり、「1次評価」は、安全上、重要な施設や機器が設計上の想定を超える地震や津波などに対し、どの程度耐えられるかを調べます。
一方、「2次評価」は、ヨーロッパのストレステストの実施状況や、福島第一原発事故の検証結果も踏まえて、総合的に評価することになっています。
政府が去年7月11日に公表した統一見解では、定期検査中の原発を対象に「1次評価」を実施して運転再開の可否を判断する一方で運転再開した原発を含めてすべての原発を対象に「2次評価」を実施し、運転を継続するか中止するかを判断するとしていました。
1次評価については、これまでに全国の原発16基の結果が、審査を行う国の原子力安全・保安院に提出されています。
一方、2次評価については、政府は去年12月までに提出するよう電力各社に求めていましたが、電力各社は1次評価の審査過程を参考にしたうえで取りまとめたいとして今も提出していません。
ストレステストを巡っては、「1次評価」と「2次評価」の違いが明確になっていないほか、専門家からは、「福島第一原発事故の原因が解明されていないなかでストレステストの1次評価を実施しても地元の理解には結びつかない」といった批判的な意見も出ています。
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