核燃料リース方式分析レポート:ユーラシア情報ネットワーク より抜粋
国際核燃料銀行とは、IAEAの管理下に一定量の核燃料を備蓄し、通常、商業ベースで取引される核燃料の供給が何らかの政治的理由で途絶えた場合、IAEAの判断により、この備蓄された核燃料によって供給を保証するという核燃料供給保証に関する多国間の枠組みの一つである。

 因みに、IAEA報告書の中で提唱されている他の手法として、核燃料リース方式がある。これは核燃料をリース商品に擬(なぞら)え、核燃料サイクル技術を保有していない国々との間で、低濃縮ウランの供給と使用済み核燃料の引き取りをパッケージで契約することで、これらの国々が使用済み核燃料の再処理技術を獲得する必要性を失くすというもの。

これ自体は商業ベースの契約を前提としているが、後述するように、現時点で、これを商業ベースで行う準備のある国はロシア以外にはない。であれば、この核燃料リース方式をベースとしつつ、使用済み核燃料の貯蔵・管理については、IAEAが関与した多国間またはリージョナルな形で対処するというのは一つの選択肢である。
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下ニュースは、
核燃料リース方式をテコにした原発の売り込みに、ロシアに続いて中国が参入することを意味します。
今後、途上国の原発建設が増えたという情報をみたら契約形態をチェックする必要がありそうです。使用済み核燃料は、国内で処分するのではなくロシアや中国に”返す”契約かもしれません。


世界一安全なww日本の原発に輸出競争力はありません。

もちょっと、クールな計算
・日本が原発輸出で勝つ可能性は、莫大なODAなどの援助とセットの場合だけです。原発事故前後で変化なし。
・途上国に必要なのは、電気と資金。安全性のトップ争いなどに興味はない。もちろん、ある程度の安全性は必要と考えるよ
・ロシアや中国が原発輸出をしたいらしい。日本の技術には興味あるかもです。”盗む”方法を考えるでしょう。
・そもそも、原発輸出国は核兵器保有五大国。軍事投資を民生回収しているだけ。日本の本格的な原発輸出を許すハズがない。


どうする人類、核のゴミ:/4 モンゴルに処分場計画 - 毎日jp(毎日新聞)
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どうする人類、核のゴミ:/4 モンゴルに処分場計画

 ◇中国台頭、米に焦り
 プルトニウムを利用する核燃料サイクル事業の断念が世界的潮流となる中で、核の平和利用において最も厄介な問題であり、最大の利権となった核廃棄物処分場建設。国際的な処分場計画が浮かんでは消えたオーストラリアを尻目に、米国と日本が昨年9月から交渉を進めた先は、地下にウランが豊富に眠る内陸国モンゴルだった。

 米国は核不拡散問題を最も重視し、日本は国家戦略として原発輸出を進めるため使用済み核燃料の引き取り先を国外に探していた。

 モンゴル外務省のオンダラー交渉担当特使(今年9月に辞任)は今年4月、ウランバートルを訪れた記者に建設予定地がゴビ砂漠のウラン鉱山周辺だと明らかにし、モンゴルの狙いについてこう言った。「将来、使用済み核燃料を引き取ることで、モンゴル産核燃料の輸出を優位に進めたい」

 ウランを使った核燃料製造工場を日米の技術で造り、燃料を輸出、さらに使用済み燃料を引き取る「核燃料リース」方式だ。米エネルギー省のポネマン副長官を筆頭にした米交渉団は、核拡散の懸念を排除するため、使用済み燃料を大量に保有する韓国や台湾のそれらもモンゴルで引き受ける構想をオンダラー氏らに働きかけた。

 さらに、米国側は「日本の青森県六ケ所村に中間貯蔵する核廃棄物を移管すれば、処分地の建設・維持費用確保にメドがつく」とも説明。日本側は否定しているが、当時の交渉過程で米国はモンゴルに対し、日本側から建設資金等が期待できると示唆していた。

 3カ国は今年2月3〜4日、米ワシントンで合意文書署名を準備し、日本側からは当時の菅直人政権下で原発輸出促進を担った内閣官房参与の望月晴文・前経産事務次官が渡米。初日の事務レベル会合には、日本の原子炉メーカー・東芝も事業参加を目指して出席した。

 だが、一連の交渉から外されていた日本外務省が「問題点が多すぎる」との理由で署名に「待った」をかけ、3月の東京電力福島第1原発事故で協議は棚上げに。5月に毎日新聞が計画を報じたことでモンゴル国内で反対運動が発生した。9月にモンゴルのエルベグドルジ大統領が「交渉禁止令」を出し、計画は事実上ついえた。

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 「核燃料リース方式」を柱にした処分場利権の行使をにらんでいるのが、10年後には米国に次ぐ「原発大国」となるのが確実視されている中国だ。日本の原子力委員会の尾本彰委員は「中国とロシアがこれからの世界の原発市場を席巻する可能性がある」と指摘した。

 東芝傘下の米ウェスチングハウスは06年、原発輸出契約獲得の見返りに、中国に最新型炉「AP1000」の技術移転をのまされた。中国は、これをもとに国産原発「CPR1000」を開発し、14年から輸出する目標を据える。モンゴル国境に近い甘粛省のゴビ砂漠に高レベル廃棄物最終処分場建設も決めており、ロシアと同様、使用済み核燃料引き取りをエサに原発売り込みを図る素地が整いつつあるのだ。

 さらに、中国は、核兵器開発を進めるパキスタンに旧型原発2基の輸出に合意しており、米国などは核不拡散上の懸念も高める。

 米国務省のストラットフォード部長(核不拡散担当)は3月末の講演で、新興国の台頭で「米国のグリップが低下しつつある」と嘆いた。影響力がある間に韓国や台湾、中東諸国から使用済み核燃料を引き取る場所を確保したい。モンゴル計画には、米国のこうした焦りも色濃くにじんでいた。【ウランバートル会川晴之】=つづく

毎日新聞 2011年12月13日 東京朝刊
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