原発の地元自治体などにさらに説明をすべきだといった11の改善点を指摘

IAEAの調査団のジェームズ・ライオンズ団長:
「保安院の電力会社などへの指示は、もっと具体的にするべきだ」



IAEA 評価方法は国際基準適合
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IAEA 評価方法は国際基準適合
1月31日 12時7分

原子力発電所の運転再開の判断の前提となる「ストレステスト」について検証してきたIAEA=国際原子力機関の調査団は、国の原子力安全・保安院に報告書を提出し、「評価の方法は国際的な基準に適合している」とした一方で、原発の地元自治体などにさらに説明をすべきだといった改善点を指摘しました。

IAEAの調査団のジェームズ・ライオンズ団長は、東京の原子力安全・保安院を訪れ、深野弘行院長に報告書を手渡しました。調査団の10人は、今月22日に来日し、電力会社が行った「ストレステスト」に対し、保安院が国の規制機関として適切に評価をしているかを検証するため、保安院の聞き取りや、福井県にある関西電力の大飯原発で視察をしてきました。報告書では、保安院が原発の現地調査をしたり、評価の過程を公開したりしている点を挙げて、「評価の方法は、国際的な基準に適合している」と結論づけました。その一方で、原発の地元自治体などにさらに説明をすべきだといった11の改善点を指摘しました。保安院は、大飯原発の3号機と4号機について、「テストの方法は妥当だ」と評価していて、IAEAの報告書を踏まえ、来月、最終評価を取りまとめることにしていますが、原発の運転再開は地元に慎重な意見が少なくなく、具体的な見通しは立っていません。

記者会見をしたIAEAの調査団のジェームズ・ライオンズ団長は、「原子力安全・保安院の審査の過程は、IAEAのルールに適合していて、ヨーロッパなどでの国際的な活動にも即している」と述べたうえで、「保安院の電力会社などへの指示は、もっと具体的にするべきだ」と指摘しました。

大阪市の橋下市長は、原発の施設の安全性については専門家しか判断できないとする一方で、「今、何が問題かと言えば、施設だけではなく、政府や電力会社の『組織』が問題となっている。ストレステストをやるのなら、施設だけではなく、組織が本当に機能しているのかどうかをテストすべきだ。SPEEDIのデータをすぐに出すという決断をできないのが今の政府だ。施設が安全でも、それを扱う側の政府や電力会社の組織が、非常時に機能するのかどうかについて、ストレステストをやらないと全然納得できない」と述べ、政府や電力会社の組織としての在り方を検証すべきだという考えを示しました。
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