安全の指標(6)〜(11)『揺らいだ基準』は、小佐古敏荘元内閣官房参与です。(12)があるかは不明です。
安全の指標(1)〜(5)『研究者の苦悩』は、山下俊一先生でした。5本に分けてブログ記事を書いています。



記事に、間違いがあれば指摘。および、簡単なコメントをします。



20130324_kosako
第二部 安全の指標(6) 揺らいだ基準 涙の訴え波紋広がる
 「この数値(年間積算放射線量20ミリシーベルト)を乳児、幼児、小学生に求めることは学問上の見地からのみならず、わたしのヒューマニズムからしても受け入れ難い」
 平成23年4月29日。首相の菅直人(66)らの肝いりで内閣官房参与に任命された東大教授の小佐古敏荘=当時(61)=が東京都内で記者会見し、涙ながらに県内の小学校などの校庭利用の目安を厳格化するよう訴えた。東京電力福島第一原発事故対応の知恵袋として参与の辞令を受けてからわずか45日目の「辞任劇」だった。
 国際放射線防護委員会(ICRP)の委員を長年務めた国際的権威が、菅内閣に三くだり半を突き付けたことは衝撃だった。ICRPの勧告に基づいて「年間20ミリシーベルト」から計画的避難区域、校庭利用の目安を示した政府への不信感を増幅させ、その後も「基準」は揺らぎ続けた。

子どもに年間20ミリシーベルト!許容できるはずがありません。

わたしが、『子どもを守れ!』と言い出したのは 4月19日くらいからです。
2011年04月19日12:48 #save_fukushima 子供たちだけは守りたい
当時のブログに書いてあるのは、小佐古参与の辞任の10日前まで入手していた情報です。

 ■ ■
 震災から1カ月後の4月11日、政府は計画的避難区域の設定目安を「年間積算放射線量が20ミリシーベルトに達する恐れのある地域」とした。8日後の19日には、文部科学省が年間積算放射線量20ミリシーベルトを上限に福島県内の小学校などの校庭利用の目安を毎時3.8マイクロシーベルトと算出した。どちらも20ミリシーベルトなのに、避難の目安と校庭利用の目安を一緒にしていいのか−。多くの県民が理解に苦しんだ。
 13日には原子力安全委員会の一部の委員が年間被ばく限度を成人の半分の10ミリシーベルトとして、登校の可否を判断すべきと発言した。翌日、文部科学相の高木義明(67)が20ミリシーベルトに軌道修正した。政府内にもぶれが見えていた。
 そこに小佐古の記者会見が降って湧いた。「年間20ミリシーベルト近い被ばくは、原発の放射線業務従事者でも極めて少ない。この数値の使用に強く抗議し、見直しを求める」。テレビで流れた涙の訴えは、瞬く間に波紋を広げた。「20ミリシーベルトは安全なのか、危険なのか」。県に問い合わせの電話が殺到した。
 記者会見の翌日の30日。首相官邸で開かれた復興構想会議終了後、副知事の内堀雅雄(48)は校庭利用の目安について国が説明責任を果たすよう官房副長官の福山哲郎(51)に申し入れた。「意見があちらこちらから出てきて困惑している。県民は何を頼りに安全、安心を実感していいのか分からない」と直訴した。

そもそも、年間20ミリシーベルトなどという高い値の前後で議論していること自体がオカシイです。
高木義明文部科学相が否定した年間10ミリシーベルトも高い値です。
子どもの被曝限度としては、常軌を逸しています。

 ■ ■
 「小佐古先生に何があったんだ」。小佐古を知る専門家の多くが違和感を感じていた。原爆症認定集団訴訟で国側の証人として出廷し、国の主張に沿った発言をしてきた小佐古が事もあろうに国に反旗を翻した−。
 県内で放射線の健康リスクについて講演していた長崎大大学院医歯薬学総合研究科長の山下俊一(60)=現福島医大副学長=は「後ろから鉄砲玉が飛んできたようだった」と振り返る。「放射線防護の国際的権威」と評されていた小佐古の言動が不可解だった。外相だった玄葉光一郎(48)も「小佐古先生は当初『これくらい(の放射線量)なら大丈夫』と言っていたはずだ。何で逆のことを言い出したんだ」と思った。

山下俊一:「後ろから鉄砲玉が飛んできたようだった」

人道的な見地があるか?ないか?の違いです


第二部 安全の指標(7) 揺らいだ基準 影の助言チーム結成
コメントは、省略します。
第二部 安全の指標(8) 揺らいだ基準 採用されない「提言」
コメントは、省略します。
第二部 安全の指標(9) 揺らいだ基準 ゆがめられた「真意」
コメントは、省略します。
第二部 安全の指標(10) 揺らいだ基準 官邸の解釈に失望...
コメントは、省略します。

第二部 安全の指標(11) 揺らいだ基準 「幻」となった勉強会
 「菅内閣に原発事故対応ができないと分かった以上、ひっくり返すしかなかった。あの辞任会見はある意味でクーデターだった」
 政府の非公式な助言チームを束ねた民主党の衆院議員空本誠喜(47)は振り返った。
 平成23年4月29日。内閣官房参与で東大教授の小佐古敏荘(61)が辞令を受けてからわずか45日で反旗を翻し、参与を辞めた。その「辞任劇」には、2人の官邸への積もり積もった不信感があった。
 小佐古は国際放射線防護委員会(ICRP)の委員を長年務めた経験をもとに多くの提言をしたが、官邸になかなか採用されないことに不満を募らせていた。4月中ごろ「提言すべきは提言した。この内閣と一緒にドボンしたくない(沈みたくない)」と空本に辞意を漏らした。
 「こうなったら小佐古先生に内閣批判をやってもらうしかない」。空本は小佐古の参与辞任と引き換えに、記者会見で官邸の場当たり的な政策決定、内閣府原子力安全委員会の機能不全など問題点を提起することにした。官邸と刺し違える覚悟だった。

注意喚起するという意味では、成功していると思います。

小佐古さんは、日本の原子力ムラだけでなく、国際的な原子力マフィアも敵に回しました。

 ■ ■
 「この数値(年間積算放射線量20ミリシーベルト)を乳児、幼児、小学生に求めることは学問上の見地からのみならず、わたしのヒューマニズムからしても受け入れがたい」
 辞任会見で小佐古は、官邸と各省庁はその場限りの対応で事態収束を遅らせていると涙ながらに訴え、法、正義、国際的常識、ヒューマニズムに背くとした。
 聞き慣れない単語や放射線防護の考え方について報道陣から質問が相次いだ。小佐古と空本は3日後の5月2日、報道機関向け勉強会として再び記者会見を開くことにした。
 勉強会に備えて、空本と小佐古は想定問答を作っていた。
 (質問)<何ミリシーベルトが妥当か>
 (小佐古)<ICRP勧告に1〜20ミリシーベルトの下方部分から選定すべきという記述がある。チェルノブイリ事故でも1年間は最大5ミリシーベルトとしたが、その後は1ミリシーベルトにした>
 想定問答で小佐古は、子どもの被ばく限度は多くても年間5ミリシーベルトにとどめるべきだと考えていた。辞任会見で「20ミリシーベルトは不適切」とした小佐古の批判の真意は、「20ミリシーベルトありき」の官邸の「決め方」にあった。それを訴えたかった。

一般論としては、年間5ミリシーベルトを限度とするのは仕方ないと思っていました。
しかし、子どもに関しては高いかなあ?と思っていました。

※現在の考え :
年間1〜5ミリシーベルトなら、移住や補償を受ける権利がある。子ども優先でも仕方がない。
年間5ミリシーベルト以上は、居住に適さない。移住や補償を受ける権利は当然ある。学校などは閉鎖の方向。

 ■ ■
 だが、勉強会は直前で中止された。小佐古が官邸から「守秘義務がある」との指摘を受けたことが理由だった。小佐古から詳しい根拠が説明されないまま、「20ミリシーベルト」は「子どもにとって大丈夫なのか」という漠然とした不安となり、県内の母親らを困惑させた。当時、県民に放射線リスクを説明していた長崎大大学院医歯薬学総合研究科長の山下俊一(58)=現福島医大副学長=ら専門家にも不信の目が向けられることになった。

政府などの圧力によって、勉強会が中止されたと理解しています。
子どもに20ミリシーベルトを批判していた人達は確信を持っていました。多くの人は漠然としていたかもです。

 想定問答で小佐古らは「放射線の人体への影響」についても記していた。
 (小佐古)<放射線のリスクは確定的影響と確率的影響に分けられる。確定的影響には脱毛や不妊が挙げられるが比較的高い線量の被ばくによって起こる。一方、代表的な確率的影響は発がんで、低線量でも起こる可能性がある。(中略)ただし、人口の大集団について評価しないと実際の影響は不明である>

ICRP的に、常識的なことですね。「発がん」というのは間違いです。ガンで死亡する確率です。
わたしは、ガン以外にも心臓疾患を始めとする健康被害があるという考えです。

 根拠としたのは主に広島、長崎の原爆による被ばく者の影響評価だった。長崎大で放射線の人体影響などを長年研究してきた山下も「長期の低線量被ばくのデータの蓄積は少ないので、影響のある、なしでは答えられないグレーゾーン」としている。小佐古が説明しようとした内容は、多くの専門家の認識と変わらないものだった。しかし、勉強会は幻となり、小佐古の口から重要な部分は語られなかった。

最後に、山下先生と小佐古元参与を似ているように決めつけていますね。

全く違います ε=(。・`ω´・。)プンスカプン!!



追記:4/1 18:20
「揺らいだ基準」は(14)までです。(15)からは「検査の意義」が始まっています。
「ベクレルの嘆き 放射線との戦い」アーカイブ | 東日本大震災 | 福島民報で、シリーズ全体を読めるようです。
ブログで間違いを指摘するまでもない冗長な記事を毎日連載する作戦のようです。

(12)(13)(14)に対するツイッターのコメント



続きを読む